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技術情報

ABOUT Amorfast®

温度制御型非晶化粉砕 Amorfast®について

山形大学西岡研究室で生み出された 温度制御型非晶化粉砕 Amorfast®「水なし・一瞬」ででんぷんとセルロースを非晶化できる技術です。
このページでは、

● アルファ化・非晶化とは何か
● Amorfast®の特徴
● Amorfast®非晶化物の特徴

について、でんぷんとセルロースのそれぞれに対してご説明しています。
また、本技術の生みの親である山形大学 西岡教授の研究についてもご紹介しています。

01

でんぷんの非晶化・アルファ化とは~生のでんぷんを利用しやすくする~

穀類や芋類などに多く含まれるでんぷん。エネルギー源となる炭水化物として重要な栄養素ですが、生のままでは消化が難しいものです。それは、生のでんぷんは固くて丈夫な結晶の状態になっていて、消化酵素などが入りにくいためです。
人類は、炊飯やパンの焼成に代表されるように、水とともに加熱することで、でんぷんの結晶構造をほぐして消化性を上げ、でんぷんをエネルギー源として有効利用できるようになりました。この「結晶状態をほぐす」ことが非晶化です。でんぷんの場合はアルファ化あるいは、水分を含んでねばねばするため糊化(こか)とも言います。

一般的に、水とともに一定時間加熱するでんぷんのアルファ化は、大きなエネルギーや時間、手間のかかるものです。

また、アルファ化したでんぷん(例えば炊飯したご飯)は、時間がたつと温度低下や乾燥により、消化性の悪い結晶状態に戻ってしまいます。これをベータ化(再結晶化・老化)と言います。

02

Amorfast®は「水なし・一瞬」ででんぷんを非晶化~省エネで生産性の高い非晶化を実現~

アルファテックの非晶化技術 Amorfast®は、温度を制御しながら粉砕することで、水を使わず、瞬時にでんぷんを非晶化します。水を温める必要がないため、省エネルギーに非晶化を実現。一瞬で非晶化できることから生産性にも優れています。
この技術は、非晶質:Amorphous への変化が非常に速い:fast ことから、Amorphous + fast で Amorfast® と命名しています。

Amorfast®で作った非晶化でんぷん粉は始めから乾燥しているため、時間経過による老化がおきません。そのため、高い非晶化率のまま長期間保存が可能です。

Amorfast®の非晶化は、原理的には全てのでんぷんに対して有効です。米・トウモロコシをはじめとする穀類の他、芋や豆類なども非晶化でき、汎用性の高い技術です

アルファテックではAmorfast®粉砕機の大型化に取り組んできた結果、ニーズに合わせて時間当たり数100kg~数10tクラスの処理能力をもつ粉砕機の開発に成功しました。
現在、NEDOの助成(2022年度 「研究開発型スタートアップ支援事業/地域に眠る技術シーズやエネルギー・環境分野の技術シーズ等を活用したスタートアップの事業化促進事業」)を受け大型粉砕機のプロトタイプを製造し、本プロトタイプ機は2023年4月より運転開始しております。

03

Amorfast®によりでんぷん素材に機能性を付加

Amorfast®で非晶化したでんぷんは消化性に優れるため、そのまま食べることができます。消化性の他にも、Amorfast®により、吸水性や水への分散性が大幅に向上。乳化力も付加することができます。
 例えば、通常の米粉であれば、水には溶けません。水溶き片栗粉のようにサラサラで、時間がたつと分離してしまいます。しかしアルファ化でんぷんは水によく溶け、長時間安定的に水に分散しています。また水分の調整によって、おかゆやクリームのような流動性の高い状態から餅のような粘り気のある状態まで、粘度を調整できます。
乾燥すると固まるため、結着剤としても使えますし、水を含むと粘弾性が出るので、小麦生地のように引き伸ばしたり丸めたり、成形性を向上する働きもあります。

このように、Amorfast®によって、天然素材であるでんぷんのまま、機能性を付加することができます。

非晶化でんぷん素材の応用分野や用途につきましては、是非「事業内容:businesss」のページをご覧ください。

04

セルロースの非晶化とは~バイオマスの利用性を上げる~

セルロースは木や草の主成分であり、非常に強固な結晶構造をもっています。そのおかげで木材は建築材などに有用です。しかしバイオマスをアップサイクルする際には、この丈夫さが加工のハードルになります。強固な結晶構造には酵素や化学品が作用しにくいためです。
そのため、セルロース系バイオマスをプラスチックや燃料などに変換するには、その変換効率を上げるための前処理が必要になります。前処理の代表例が結晶構造を壊すこと、すなわち非晶化です。強固な結晶構造を壊すことで、酵素や化学品の反応性を上げます。

一般的なセルロース系の前処理は、高熱高圧といった過酷条件や、強力な化学品による処理を必要とします。結果として大きなエネルギーを消費し、あるいは有害な廃棄物が排出されるなど、「エコ」ではないプロセスになることがあります。コスト高のため、バイオマスアップサイクルの実用化が進まない一因でもあります。

05

Amorfast®によるセルロースの非晶化~低コストでエコなバイオマス前処理~

温度制御型非晶化粉砕 Amorfast®は、温度を制御しながら粉砕するだけでセルロースの非晶化が可能です。水などの溶媒も撹拌媒体も使わない乾式の粉砕のため粉砕効率がよく、処理は非常に短時間。化学品を使わないので有害な廃棄物が出ません。環境に優しく高効率のバイオマス前処理技術です。
 ラボ試験では、同じ粒度に粉砕したセルロース系バイオマスでも、非晶化の有無でセルラーゼの糖化率が変わることが確認されています。

本格的な大型粉砕機の開発はこれから!ですが、でんぷん向け大型機の機構を応用することで、大量生産・連続生産が可能となると期待されます。

CREATOR山形大学 大学院 有機材料システム研究科 西岡研究室

温度制御型非晶化粉砕 Amorfast®は、山形大学 大学院 有機材料システム研究科 西岡研究室で生まれました。当研究室では「プラスチック成型加工」「レオロジー」「天然高分子」を3つの柱に研究をおこなっています。

このような研究の知見を活かし、西岡研究室では100%米粉でもしっかり膨らむパンの開発に成功しました。グルテンをもたない米粉は、小麦と異なりパンがうまくふくらみません。西岡研究室では、パンを発泡スチロールやスポンジのような発泡成形品と考え、プラスチックを発泡させる際の「低粘度と高粘度の材料を混ぜる」技術を応用して100%米粉パンの開発に成功しました。米粉パンにおける低粘度の材料とは通常の米粉であり、高粘度の材料とは非晶化米粉です。

また、熱とせん断力を同時に加えることにより、炊飯なしに米が非晶化する事実を発見し、これを短時間・低コストのでんぷん非晶化技術まで磨き上げました。

温度制御型非晶化粉砕は3つ目の天然高分子の研究成果ですが、非晶化粉砕でんぷん素材を用いた食品の食感の改善という観点で、レオロジー制御に関する研究も大きく関与しています。現在休止中ですが、過去にはレシピコンテストも開催し、非晶化米粉の粘度制御技術を応用したグルテンフリー食品を多数開発しています。また、YouTube のチャンネル「あるふぁかちゃんねる」では学生さんが製作したレシピ動画を公開しています。

受賞歴(非晶化に関する物もの)

・平成29年度 日本応用糖質科学会「技術開発賞」連名受賞(2017年9月)
・山形県科学技術奨励賞 受賞(2007年8月)個人受賞

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